【知的障害の支援区分】認定調査で区分が下がる理由と対策|関係者が参加すべき重要ポイントを解説

目次

3年に一度訪れる「障害支援区分認定調査」

障害支援区分は、数字が大きいほど利用できるサービス量や報酬に影響する大切な仕組みです。
ただし、その捉え方は 利用者本人・家族・支援者で大きく異なることもあります。

この記事では、「必要な支援の状況を正しく伝えるためのポイント」 を、現場目線でわかりやすく解説します。

💡大事なポイント

保護者、施設職員が協力して調査に参加!区分の数字や特記内容に大きく影響します!


【基本】障害支援区分とは?

「障害支援区分」とは、障害福祉サービスを利用するための“支援の必要度”を示す指標です。
区分は1〜6まであり、数が大きいほど支援量が必要であることを表します。

■ 支援区分の目安

  • 区分1:比較的自立しているが、一部の支援が必要
  • 区分2:定期的・部分的な見守りや支援が必要
  • 区分3:日常生活で随時の声掛けや介助が必要
  • 区分4:ほぼ常時の介助が必要
  • 区分5:高度な介助・常時見守りが必要
  • 区分6:最重度の支援が必要

この区分は以下のサービス利用量の目安になります。

  • 生活介護
  • 就労継続支援B型
  • 短期入所
  • 共同生活援助(グループホーム)
    など…

【基本】認定調査とは?

認定調査とは、支援区分を決めるための全国共通の聞き取り調査です。
調査員(市区町村または相談支援事業所)が訪問し、決められた項目に沿って質問します。
調査時間は 約1時間程度

調査項目(基本調査)

全80項目以上が、以下の4分類に分かれています。

  • 身体機能・起居動作
  • 生活機能(家事・移動・排泄など)
  • 行動障害(多動・こだわり・危険行動など)
  • 医療面(医療的ケアの必要性)

調査員は「できる・できない」ではなく、
“日常生活でどれだけ支援が必要か” を確認します。

しかし調査員の経験値により、
「質問の深さ」「多角的な視点」が大きく違うのが現実です。

ポイント: 調査員には利用者が一人暮らしをすると仮定して支援の必要度を伝えるのが有効です。

支援区分の決定プロセス

支援区分は 3つの段階 を経て決定されます。

① 一次判定(コンピュータ判定)

調査項目の結果だけで、アルゴリズムが自動判定。

② 主治医意見書

医師が、病状や障害特性を書きます。
ただし、医師が生活面を把握していないケースが多く、形骸化しがちです。

③ 審査会(障害支援区分認定審査会)

専門委員が一次判定と医師意見書を総合して最終判断します。

特に知的障害の方は、一次判定(数値上)は低く出やすい傾向があります。

だからこそ… 特記事項がめちゃくちゃ大事!

チェック項目に反映できない生活状況・行動・環境要因をしっかり書いてもらう必要があります。

【実践】認定調査にはどう対応する?

結論:本人・保護者・支援者の三者で調査に臨むことがベストです。

■ よくある問題

保護者さんは「うちの子はできます」という “できる側バイアス” がかかりやすい。

その結果…

  • 前回「支援が必要」だった行為が
  • 今回「できる」にチェックされる

ということが現場では多発します。

事前に伝えておくべき言葉

調査参加者に、事前にこう説明するのがおすすめです。

「一人暮らしを想定して、支援の必要度をお伝えします。
普段できているように見えても、条件が違うとできないことがあります。
職員が“できない”と多めに伝えることがありますがご了承ください。」

こうすることで、
誤解や過少申告を避けられます。

調査員に必ず伝えるべき内容

調査員が特記事項に書ける“エピソード量”が多いほど、認定の正確さが上がる!

  • 環境が変わるとできない/混乱する
  • 条件が合わないと失敗する
  • 家族の見守り・声掛けがどれだけ必要か
  • 支援がなければ危険につながる行動がある

などは必ず伝えましょう。

認定調査員への具体的な返答例

● できる/できない → 「どれだけ支援が必要か」で伝える

✕「トイレは行けます」
○「声掛けや誘導が必要。1人だと失禁することがある」

● 行動障害・こだわりの頻度

  • 同じルートでないとパニックを起こします
  • 物を投げる行動が週3回は必ず発生します
  • 突発的に飛び出すため常時見守りが必要

● 医療的ケアの内容

  • 吸引
  • 胃ろう管理
  • てんかん発作の頻度
    など、すべて伝えましょう。

● 介助の「負担感」も伝えてOK

家族だから無意識にやっている支援も立派な支援です。

  • 夜間の見守り
  • 情緒不安定時のサポート
  • 毎回必要な声掛け

これらは区分に大きく影響します。

再調査(区分変更)について

以下の場合、支援区分の変更申請が可能です。

  • 状況が悪化し、今の区分で支援量が足りない
  • 行動や生活能力が大きく変わった
  • 入院・退院後に支援量が増えた

一般的には 6ヶ月以降 が目安ですが、急変時は早期申請も可能です。

申請先:市区町村の障害福祉課、担当ケースワーカー

まとめ

  • 障害支援区分はサービス量に直結する重要な仕組み
  • 認定調査は「普段必要な支援量」を正確に伝えることが最重要
  • 特記事項の充実が、審査会の判断を左右する
  • 本人・保護者・支援者の協力が正しい区分に直結する
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