【知的障害】特別支援学校3年生の進路|障害福祉施設職員が保護者に伝えたい大切な視点

進路の話が出始める特別支援学校3年生への進級の時期。
面談や見学の場で、保護者の方からこんな声を聞くことがあります。

「どれが正解なのか分からなくて…」
「この選択で、本当にいいのか不安で…」

その気持ちは、とても自然なものだと感じています。
なぜなら進路選びは、今だけでなく、この先の暮らし全体に関わる選択だからです。

私たち施設職員の立場から、ひとつの“提案”としてお伝えしたい視点があります。

目次

「できるか」より「続けられそうか」を一緒に考えたい

施設実習や学校生活の中で
「作業ができています」
「指示も理解されています」
と評価される場面は多くあります。

一方で、私たちが日々見ているのは
“続けることの難しさ”です。

疲れがたまっていないか
生活リズムは保てているか
気持ちの切り替えに無理が出ていないか

支援の現場では、
「できていたはずなのに、通えなくなってしまった」
というケースも少なくありません。

進路を考える際には、
今の頑張りだけでなく、これからの毎日を想像することも大切だと考えています。

通う手段も、支援の一部だと考えています

支援内容や作業内容と同じくらい、私たちが重視しているのが「通所の現実性」です。

車両送迎があるか
通所時間が長くなりすぎないか
体調や天候による影響を受けすぎないか

通えなくなってしまえば、どんなに良い支援も継続できません。

「車両送迎サービスはあるが、送迎車両停車位置まで自宅から徒歩20分

実際に考えると、毎日の負担は大きいですよね。

無理なく通い続けられることは、必須条件であると考えます。

送迎車両のルートや空き情報のチェック、移動支援サービスの継続利用が可能かは事前に確認すべき点です。

進路は「日中の居場所」だけでは完結しません

進路という言葉から、就労先や通所先を思い浮かべる方が多いと思います。

ただ、私たちは「暮らし」と「日中」は切り離せないものだと感じています。

将来、住まいの選択肢はどうなるか
親元を離れる可能性はあるか
生活面の相談ができる先があるか

今すぐ必要でなくても、将来につながる関係を少しずつ作っておくことが結果的に安心につながることがあります。

卒業後も、支援が途切れないために

支援学校卒業は大きな節目です。
同時に、制度が切り替わるタイミングでもあります。

障害福祉サービスの申請、契約
支援区分の認定、受給者証の発行
サービス等利用計画の策定

これらは、卒業後の生活をスムーズに始めるための大切な準備です。


「卒業=支援が終わる」ではなく、「支援の形が変わる」
と考えています。

私たちが大切にしているのは「相談できる関係」です

支援の中で、必ず迷いや不安は出てきます。

この対応でよかったのか
環境が合っていない気がする
家庭でどう関わればいいのか分からない

そんなときに、「こんなこと相談していいのかな」と思わず、
気軽に声をかけてもらえる。

障害者支援サービスとして身近な相談機関という存在でありたいと考えています。

制度の話だけでなく、
日々の暮らしや気持ちの揺れを一緒に整理することも、私たちの大切な役割です。

最後に

進路選びに、
誰にでも当てはまる正解はありません。

私たちが保護者の皆さまにお伝えしたいのは、
「急がなくて大丈夫です」ということ、
そして
「一人で抱え込まなくて大丈夫です」ということです。

進路はゴールではなく、
その子らしい生活が続いていくための入り口です。

私たちは、
その入り口を一緒に考える存在でありたいと思っています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次