障害者施設(サービス事業所)を選ぶ前に|知的障害者支援に携わる現役施設長が伝えたい「小さな違和感」の話

障害者施設を選ぶとき、多くの方がまず気にされるのは設備の新しさや立地、サービス内容かもしれません。

しかし、現役で障害者施設の運営に携わる立場として感じるのは、本当に大切なのは、日々の関わりの中ににじみ出る職員の姿勢や組織の空気だということです。

今回は、現場を預かる施設長としての実感と、利用者・ご家族から実際に耳にしてきた声をもとに

「正直、不安を感じてしまう障害者施設の特徴」

を整理してみました。

見学等で確認できる内容だと思いますので、参考の一つにしていただければ幸いです。

目次

挨拶ができない職員が多数いる障害者施設

「おはようございます」

「こんにちは」

たった一言の挨拶ですが、この一言があるかどうかで、現場の空気が大きく変わると感じます。

挨拶がないと、利用者やご家族は

「ここに来ていいのだろうか」

「歓迎されていないのではないか」

と不安になります。

忙しさは理由になりません。

挨拶ができない職場は、結果として利用者との関係づくりも浅くなりがちです。

職員を「先生」と呼んでいる障害者施設

他施設を見学した際、職員を「○○先生」と呼び合っている場面に違和感を覚えることがあります。

「先生」という言葉は、知らず知らずのうちに上下関係や立場の固定化を生みます。

その空気は、若い職員や経験の浅い職員が意見を言いにくくなる原因にもなります。

利用者も職員の事を先生と呼ぶ状況ならば根は深いです。

利用者と職員の関係性に上下ができやすく“支援”が“指導”と変わる可能性があります。

支援は、教えることではなく、一緒に考え、支えること。

現場を預かる立場として、本質からずれた呼称は悪しき文化を作る原因にもなりかねません。

ネットやSNSで情報発信をしていない障害者施設

今の時代、障害者施設を利用する前にホームページやSNSを確認するのは自然な行動です。

外に向けた発信がない施設ほど、内部の情報共有や意見交換も滞りがちだということです。

発信は、宣伝ではなく説明責任。

できる範囲で構いません。

現場の様子や考えを少しでも開いている施設は、組織としての風通しも良い傾向があります。

説明より「決まり」が先に出てくる障害者施設

現場でよく起きるのが、

利用者やご家族からの質問に対し、

「決まりですから」と先に答えてしまう場面です。

施設長としては、決まりが必要なことは痛いほど分かります。

しかし同時に、説明を省いた決まりは、必ず不信感を生むということも実感しています。

決まりを伝える前に、なぜそうなのかを説明する。

それだけで、多くのトラブルは防げます。

壁に利用者の個人情報が掲示されている障害者施設

特に気になるのが、誰でも見える場所の壁に、利用者の写真・名前や支援内容、注意事項が

当たり前のように貼られているケースです。

「職員用だから」

「昔からこうしている」

その言葉に強い危うさを感じます。

便利さよりも、本人の尊厳と安心が常に優先されるべきです。

小さな違和感は、現場を知っているからこそ見逃せない

ここに挙げた内容は、決して特別な要求ではありません。

「人を大切にしている施設」「そうでない施設」の違いは、

こうした小さな部分に必ず表れると感じています。

見学時に感じた違和感は、とても大切なサインです。

おわりに 〜現役施設長として伝えたいこと〜

障害者施設は、制度を運営する場所ではなく、人の生活と人生を支える場所です。

だからこそ、安心して任せられるかどうかは、日々の小さな対応に表れます。

現役施設長として、利用者も、家族も、職員も、「ここなら大丈夫」と思える、選んでもらえる障害者施設であり続けたい。

そんな思いを込めて、この記事を書きました。

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